「コードギアス 反逆のルルーシュR2」第25話

とうとうコードギアスも終わり。果たしてどんな最終回になるかと、興味津々でしたが想像をはるかに超えるものでした。悪逆皇帝として世界の憎しみを一身に集めたところで自分を殺させる。それが「ゼロレクイエム」だと。いやまさかこんな結末になるとは…。ルルーシュの行動が、どうも自分に憎しみの全てが行くようにしている、というのはうすうす感じていたんですが、それだと矛盾が生じる。シュナイゼルの恐怖による支配を否定したわけですから、ルルーシュの方法が同じでは理屈が通らない。人の未来への希望を信じて、シャルルとシュナイゼルを否定したわけですから、このままだとどうやっても辻褄が合わない。まさか自身の死をもって完成する計画だなんて、想像もつきませんでしたよ。憎しみを自分が一身に受けたところで殺させ、世界に平和をもたらす…こんな発想はルルーシュだからこそ。ギアスの力を手に入れ、様々な苦悩を味わい、それでも人の未来を、希望を信じて、誰もが幸せに暮らせる世界を実現したいと願った。そのためには自分を犠牲の祭壇に捧げることも厭わなかった。何という決意、何という覚悟か。理想を語ることなんて誰でもできます。ウザクですら語れる。しかし、実行する覚悟は?犠牲にひるまず道を突き進めるのか。ルルーシュはそれができた。しかも自分すらも犠牲にする覚悟で。だからこそ、これだけ壮大なことを成し遂げることができた。
それにしてもルルーシュを見ていると、つくづく政治とは絶対多数の幸福を得るための悪の手段だということが思い知らされます。たとえば100万人は死ぬけれども、10億は絶対に幸福になれる。しかし、犠牲にされる100万はたまったものじゃないですね。こういうところが悪の手段と呼ばれる所以。ルルーシュはまさに政治技術に長けた、稀代の政治家だったといえるでしょう。
しかし、最後にルルーシュを殺す役目を、スザクが負うとは。確かにスザクは公式には死んだことになっていますし、今後は「ゼロ」として、死ぬまで仮面を付けなければならないのですから、生き残ったからとて幸福ではないでしょうが、なんか釈然としないですね。散々くそ青い理想を語っておきながら、中途半端な行動を繰り返し、単なる裏切り者としての足跡を残しただけ。ユフィの怨みもルルーシュの真意を知ったら、ハイ忘れましょうってどれだけ都合がいいのかと。コードギアスでは、常にルルーシュとスザクが比較対置されてましたが、半端な理想論は周りに迷惑をかけるだけという、格好の見本でしかなかったですね。
ルルーシュの亡き後の世界は、彼の願いどおりの方向に進みましたが、ナナリーの「お兄さまだけでよかったのに…」という台詞が悲しすぎます。そのささやかな願いはかなえやすいですけど、それでは二人が幸せなだけで、世界は不幸のままですからね。ルルーシュはあくまで世界の幸せを願った。たとえその世界に自分は居なくても、ナナリーが残ってその世界で幸福であればいい。ルルーシュが死ぬ間際に、ナナリーが真実を知って「お兄さま、愛しています」とお互いの愛情を確認し合えたことは救いでしたね。
対シャルルでちょっとテンションが下がってしまいましたが、最後は壮大にまとめましたね。凄く感動しました。通してみればギアスは良い作品でした。感動をありがとう。コードギアスよ、永遠なれ!