「機動戦士ガンダムOO」第4話

一応ウォッチしているんだけど、見れば見るほど腹立つね。刹那らソレスタルビーイングの言い分が、自分勝手すぎて何の説得力もない。世界を変えるために戦うというのなら、具体的にどうヴィジョンを持っているのか。たとえば、話し合いによって統一するのか、ルルーシュみたいに悪役になって世界をまとめるのか、そういう方法論がない。単に気まぐれに武力介入を行って、戦争を撒き散らしているだけ。だいたい地球連邦ができたことで、ほぼ統一されたんだから、もう彼らの役目は無いはず。それを、これは自分たちの望んだ姿じゃないと屁理屈を言って破壊する。じゃあ連邦を壊した後どうするつもり?自分たちが世界政府を作るのでもない限り、ただの破壊活動、すなわちテロ以外の何者でもない。そういう自分勝手さが、沙慈やルイスのような平和に暮らしていた人々を踏みにじっているというのに、自分たちの責任は棚に上げて、偽物の平和がいいのかと逆ギレ。ふざけんなと思うね。
そもそもこの作品一番の問題は、政治と戦争を全く理解してないこと。人類の歴史は戦争の歴史。なぜ人類は何千年たっても戦争一つ止められないのか。銀英伝ヤン・ウェンリーは、自身が大量殺戮者であるという罪の意識にさいなまれながらも、流した血の量に値する何かを成し遂げようとあがき続けた。だからこそ、思想的にはサヨクだったけど、行動的には共感できたし、英雄だと思う。翻って、ソレスタルビーイングの面々は、戦争を全く理解してない。「戦場」への介入と「戦争」への介入を分かっていない。クラウゼヴィッツは「戦争は他の手段をもってする政治」と喝破したけど、戦争根絶とはすなわち政治根絶。人類が政治を捨てない限り無くならない。少なくとも、近代国民国家という形を運営している限り、まず戦争根絶は不可能だし、他にもイデオロギー、人種、宗教といった争いの種は無数にあるわけで、それらを越えて戦争根絶なんて、現時点では空想というより妄想の産物。そのことを理解してなお、希望にかけるというなら話は分かるが、戦場で暴れまわればいつか戦争がなくなるさ、なんてガキの屁理屈。
SEEDもそうだったけど、最近のガンダムは戦争観が著しく幼稚化・サヨク化しているね。これではファーストガンダムを越えることは永久に不可能。銀英伝並みに政治と戦争を理解した設定のガンダムができないものかねぇ。