「CLANNAD 〜AFTER STORY〜」第19話

旅行から帰ってきた朋也たちの様子を見て、笑顔で迎える早苗さん。やっと幸せを取り戻した感じで一安心。夜中、目が覚めた朋也は、縁側で秋生と早苗の会話を聞いてしまう。早苗に「もういいんだぞ」という秋生。そして堪えきれずに泣く早苗。ああ、そうだよなあ。渚が死んだことで、一番悲しい思いをしたのは、両親の秋生と早苗なんだよな。でも、朋也がああなっちゃったから、自分たちが悲しみに暮れるわけにはいかなかった。汐を孤独の中に放り出してしまえば、それこそ渚の想いを無駄にしてしまう。やっぱり早苗さんたちは大人だね。でも我慢も朋也が立ち直ったことで終わり。あらためてジーンときたなあ。秋生は普段はちゃらんぽらん親父だけど、早苗の気持ちを察するあたり、やっぱり夫婦なんだなあと感心。古河夫婦の絆を見せ付けられて、朋也もすべてを悟ったように頭を下げる。
初めて渚を幼稚園に連れて行く朋也だが、早速おばさんたちの陰口の対象に。でもグッと堪えて挨拶を。ずいぶん大人になったもんだ。汐と一緒に生きていかなきゃならないからね。このくらいは上手くかわせないと、強く生きていけない。そしてまさかの風子登場。一応、初対面ということになっているけど、風子はまんまだな(w ずっと泣き路線だっただけに、久々に和めたね。
いよいよ父と会う決意を固めた朋也。汐とともに実家を訪ねるとそこには…。以前にも増して酷い、もはや生きているのか死んでいるのかも定かでない父の姿が。朋也に気付いたその口からは「あぁ、朋也くん」といつもの台詞。でも朋也はそこからいろんなものを感じ取って「ただいま」と。そしてお婆ちゃんと会ってきたことや、実家に帰って休むことを勧める。それに対して父は「俺はやり終えたのだろうか」。そう、朋也父は、朋也を育て上げるために、今まで何もかも犠牲にして頑張ってきたんだよなあ。そしてこんな廃人状態になって尚、父の心にあったのは「朋也を育てる」という一点だけだった。ハッとなった朋也は「もう充分だよ」と答えると、「そうか、いつの間にかやり終えていたのか…」。あー、くそ、二週連続で大泣きさせられるとは思わなかった。いったい朋也父は、どれだけの想いを抱いてここまで生きてきたのだろうか。ただひたすらに、朋也を育てることに集中し、自分が壊れてしまって尚、それをやり続けようとした。朋也は壊れた父しか見てなかったから、彼を嫌悪したけど、これも家族の絆の成れの果てだった。自分が父と同じ立場になって、やっとそれに気付いた朋也。
ほんとにさ、自分が見ているものって、所詮目の前の一瞬に過ぎないんだよね。でもその一瞬に至る過去の積み重ねがあって、今に至っているわけで。その過去の積み重ねを知ろうともしないで、目の前の一瞬だけですべてを分かったようなつもりになって、否定することは簡単だけれども、それはその人の過去から積み上げてきた想いを踏みにじる事でしかない。朋也は自分の犯した間違いに気付いたから、こうして父を見送ることが出来た。「絶対に恩返しに行くからな」という言葉は、象徴的だった。
ああ、ほんとクラナドはなんて素晴らしいんだろう。失われて、そして取り戻される家族の絆。我々現代人が失ったものを、クラナドは思い出させてくれるよね。こんな素晴らしい作品が、オタクしか知らないというのはもったいない話だなあ。一般人こそクラナドを見てほしいね。