どうなるPioneer

先日、パイオニアに政府が資本注入するらしいというニュースが流れました。テレビ事業から撤退が決定し、その記憶も新しいうちにこれですから、そうとう厳しい状況なんでしょうね。日本のオーディオメーカーバブル崩壊以降、有名ブランドの撤退や倒産などが相次ぎ、またハイエンドがほとんど見られなくなって、寂しい状態になっていたんですが、この状況は悪化することはあっても改善することはなさそうです。こうなるとパナやソニーといった巨大資本だけが残り、何の面白みも無い売らんかな主義の製品だけになってしまうのは確実。そして、もう二度とKUROに初めて出会ったような衝撃は、味わえないわけで…。
薄型テレビは地デジへの切り替えのため、例外的に売れていますが、本来、AV機器はきわめて趣味性の高いもので、一般人がほいほい買うものではありません。つまりそもそも大量生産・大量消費という方式に合わないもので、だから海外メーカーの製品は、同クラスの日本製に比べてやや高いわけです。ですから、高い高いと言われていたKUROにしたって、本来は正しい価格設定であって、パナのビエラとかシャープのアクオスが20〜30万で買える方がおかしいのです。
でも日本の一般消費者は、馬鹿が多いですから、店先の値札しか見てない。こっちのほうが5万安いからこれをくれと言う。そういう結果が、良い物が売れない、売れても原価割れで売る羽目になる、そしてメーカーは利益を削られやがて倒産、という悪循環に落ち込んでいるわけです。一番いいのは、メーカーが市場規模に合った大きさに縮小することなんですが、日本の会社は一般人取り込んで、市場規模を大きくして売り上げアップ、という思考しかしませんからね。結局、自ら掘った墓穴に入っていく循環が永遠に続くんでしょうね。
いちAV機器マニアとしては悲しい思いです。せめてパイオニアが倒産しないことだけを祈りましょう。