「Angel Beats!」第9話

語られる音無の死の記憶。
センター試験を受けに行く途中、列車事故でトンネルに閉じ込められ、生き残った人を献身的に手当てするも、救助が来る直前に死亡。
記憶を取り戻したと同時に音無は語り出す。
医者になって沢山の人を救うことは出来なかったけど、最後にドナーカードを記入して、臓器を誰かに渡すことが出来たはずだから、自分の人生はそう悪いものではなかったと。
満足したかと奏に問われ、皆んなも同じ様に満ち足りた思いをさせてやりたいと言い出す音無。
そして話は急展開。
音無の話に同意する奏に、天啓でも得たかのように、奏の目的を悟る音無。
タネ明かしをしてみればビックリ。
この世界は報われない人生を送った若者の魂の集まる場所で、奏は皆んなに人生に満足して昇天してもらいたくて頑張っていただけで、不器用だから話が通じず、ゆりっぺ達と戦争まがいのことをやっていたと。
そして音無は決意する。
皆んなに幸福に昇天してもらうために、ゆりっぺに内緒で奏と手を組むことを。
いやー、この流れは唐突だわ。
一応、各人の立ち位置の説明はついた。
人生の理不尽に怒り、神に復讐するために天使=奏を倒して世界をひっくり返そうとするゆり。
幸福な学生生活をこの世界で送ってもらうことで、人生は理不尽だけでないことを教えて、昇天させたい奏。
この齟齬が、奏の不器用さによるものだったという。
世界観や各人の思惑はいいけど、食い違いの原因が不器用だったからっていうのは強引すぎないか?
物語の仕込みに対する展開の仕方が不自然すぎる。
おそらく、まだ大きな仕込みが残っているんだろうけど、それらが一本に繋がっている感じが全くしないんで、感動が小さい。
こういう物語の仕掛けは、一本に繋がった時の爽快感や意外性が大きければ大きいほど、面白く感じるもの。
やはり「Angel Beats!」はそこに失敗しているなと思う。
仕掛けが不出来というよりは、繋げ方を間違っている。
明らかになってくる事項が、うまく噛み合わない。
機械の歯車みたいに、カチカチはまってこそ、大きな動きに繋がるんだが、そこが悉く噛み合わず、機械が動かない感じ。
やっぱり麻枝准は、アニメの脚本家じゃないなと思う。
これがいつものゲームだったら、凄い作品になっていたんじゃないかと。
ストーリーが切れ目なく続く(イベントごとの区切りは在るにせよ)ゲームシナリオに対し、アニメは毎話30分ごとの切れ目があるんで、ショートストーリーを繋げて大きなストーリーになる構造。
そうなると、伏線の張り方・回収も異なってくるし、ゲームと同じ見せ方をしていたんじゃあブツ切り感は否めない。
もちろん、まだ終わってないんで、残り3話で凄い展開になるかもしれないけど、今までの感じでは逆転の匂いはしないなあ。
非常に残念な作品になりつつあるな。
傑作になりそこねた作品。