「喰霊 -零-」第9話

奇跡的に一命を取り留めた黄泉。でも声は潰れ、腱は斬られ、全身不随にされ退魔師どころか人間として生きることも不便な体に。それに追い討ちをかけるように、紀之との婚約破棄、冥殺しの疑惑と、どんどん追い詰められる。とどめは神楽に誤解されたと思い込み、最後の希望を失ったと悲しむ。ここまで不幸に畳み掛けられる黄泉が、見ていて可哀相だ。もっともこういう状況こそ、三途河の意図したものなんだろうけど。結局、黄泉に殺生石を与えたいがため、彼女がそれを受け入れざるを得ない状況を作り出したと。だから殺さずに、全身不随なんて手の込んだことをやったんだろうね。神楽もなんと間の悪いタイミングで、意味不明な涙を流したもんだ。神楽が最後の寄りどころだったから、あの涙の別れさえなければ、まだ黄泉も踏ん張れたろうに。
とにかく、これで黄泉の悪霊としての覚醒完了。そして2話目に繋がるというわけか。余談だけど、諫山幽ってほんとどうしようもない下衆だよな。退魔師としての努めから逃げ出したくせに、家督は寄こせってどれだけ都合がいいんだ。単なる権勢欲の塊り。こんな下衆が家督を継ぎますと葬式の場で言い出して、はいそうですかと納得する親族たちも相当阿呆だよなあ。
それから対策室の調査能力って幼稚園児以下かよ。黄泉の怪我を自作自演の可能性って、どうやったら自分で自分の全身の腱を切れるんだよ。凶器が発見できなかったって、刃物による切り傷は武器の特徴が出るから、あれが黄泉の獲物ではないことくらい、普通の警察の鑑識だって分かるぜ。しかも、黄泉が負傷した場所には、Aクラスの悪霊の反応があったわけだから、常識的に考えて悪霊との戦闘で何かがあったことくらい推測できるだろ。恨みによる犯行ってどんだけ現場の証拠を無視すりゃ出てくんだよ。黄泉が追い詰められる状況設定の中で、これだけは矛盾・稚拙でどうしようもないわ。こういうのが「興ざめ」なんだから、脚本はもっと綿密に作れよな。